取材協力:株式会社 FP&A JAPAN
[Interview]ファイナンスとマーケティングを、1つのチームで
管理会計をAIで回し、経営判断を速くする。管理会計・財務会計の専門家と、提携する税理士法人、広告・PR・コンテンツの専門家が1つのチームになったコンサルティングファーム、FP&A JAPAN。どんな専門家が集まり、企業のどんな課題を支援しているのか。チームの特徴、サービス、3つの支援の例を紹介します。
株式会社 FP&A JAPAN 代表取締役社長CEO
小池 武史
Vendor Index(聞き手)
澤 万純
[Interview]

この記事のサマリー
- 01ファイナンスの専門家と、広告・マーケティングの専門家が1つのチームになり、戦略の立案から実行、成果の測定までを支援する。
- 02経営の判断に、経験にもとづく感覚だけでなく、管理会計・財務会計のデータという数字の根拠を足し合わせる。
- 03FP&A JAPAN が紹介する支援の例では、週次で判断できるグループ経営管理の型を設計。銭湯では根拠を持った値決めで常時黒字の経営を実現。アパレルではECが店舗を補う第2の柱に。
01FP&A JAPANとは
ファイナンスとマーケティングの悩みを、ばらばらにではなく、まとめて解く。
澤
今日はよろしくお願いします。まず、FP&A JAPAN がどんな会社か、教えてください。
小池
2026年1月7日に創業したコンサルティングファームです。「ファイナンス」と「マーケティングコミュニケーション」を、一気通貫でご支援しています。管理会計・財務会計の専門家と、提携する税理士法人、広告・PR・コンテンツの専門家が、1つのチームになっています。
澤
会社を立ち上げた狙いを教えてください。
小池
大前提として、私たちは経営層と事業の現場の橋渡しをする会社です。経営者の方の意思決定を「速く」「正しく」「実行につながる」ものに変え、企業価値を最大化することをサポートします。具体的には、ファイナンス(財務・管理会計)、税務、マーケティング(事業)の3つを統合して、施策ごとに「実行価値」と「キャッシュ影響」を1つのモデルで可視化していきます。


澤
ファイナンスとマーケティングの2つを、なぜ1つの会社で支援するのですか。
小池
お客さまの悩みが、つながっているからです。「ファイナンスは難しくてよく分からない」「管理会計(FP&A)をどう導入して活用すればよいか分からない」「マーケティングの専門用語ばかりで、意思決定に活かしきれていない」。こうした悩みを、ばらばらにではなく、まとめて解くことを強みにしています。
澤
経営判断の中でも、特に力を入れていることはありますか。
小池
投資判断のお手伝いです。利益や税引後利益を重視する流れの中で、企業はどうしてもコスト削減に寄りがちになります。しかし、それでは縮小均衡に陥り、適正な企業成長は成し遂げられません。私たちは、投資と削減のバランスを一つの軸で提案して、単なるコスト削減に陥らず、企業価値の向上を目指せる経営判断をサポートしたいと考えています。
02どんなチームか
監査法人、税理士法人、広告会社・PR会社などで、各分野を率いてきた人が集まった。
澤
会計と広告の専門家が1つのチームにいる、とのことでした。どんな経歴の方が集まっているのですか。
小池
主要メンバーは、監査法人、税理士法人、広告会社・PR会社などで、それぞれの分野のリーダーを務めてきました。経営や事業の戦略を立てる上流の仕事から、現場のオペレーションを高度にする施策、ファイナンスの全領域にわたる分析まで、一貫してご支援できます。
澤
そのチームの強みは、どこにありますか。
小池
この領域の実績を持つCEO・CFOと、提携する税務アドバイザー(税理士)がそろっていて、多くのノウハウを蓄積している点を強みにしています。代理店の経験者も含めて実務経験が豊富なので、ファイナンス(管理・財務会計)と税務、マーケティングの三位一体で、投資の最適化を提案できます。
澤
小池さんご自身は、これまでどんなお仕事をされてきたのですか。
小池
電通で、営業・エンターテインメント・経営企画を歴任しました。社内ベンチャーの立ち上げと経営に携わったあと、電通 JapanでFP&A部門の立ち上げを担い、COO・CFO直下で経営推進を支えてきました。
創業時メンバー
- 小池 武史:代表取締役社長CEO。電通にて、営業からエンタメ部門、事業企画、経営企画を歴任。電通 Japan で FP&A 部門の立ち上げに従事
- 榎並 晃司:取締役副社長 CFO・公認会計士。あずさ監査法人での監査を経て、電通グループのファイナンス部門に従事
- 渡辺 武典:税務アドバイザー・税理士。芝みなと税理士法人の代表社員
- 杉本 晶:顧問 メディア戦略アドバイザー。電通でメディア・デジタル部門の全社統括役員を歴任
- 齋藤 紀之:顧問 PR/RM戦略アドバイザー。電通PRコンサルティングの専務執行役員を歴任
- 赤塚 善洋:Contents Professional。コンテンツ会社を中心に複数の企業を経営
- 田中 優子:コーポレートオペレーション統括
03数字で語る経営
経営の判断に、経験にもとづく感覚だけでなく、数字の根拠を足し合わせる。

澤
公式サイトに「管理会計とデータが支える経営判断」という言葉があります。具体的には、どういうことですか。
小池
経営の意思決定では、マネジメントの経験にもとづく「感覚」に、「数的根拠」を足し合わせます。私たちは、すべての事業のアクションを、管理会計・財務会計のデータと結び付けて評価します。数字で語る経営とマーケティングを実現して、経営のスピードと精度を高めます。
澤
FP&A の部署がある会社でも、うまくいかないことがあるのですか。
小池
多くの企業で FP&A を担当する部署があるのに、課題として挙げられるのは、担当部署が判断材料の KPI や数字を出しているのに、経営の意思決定が遅いことでした。原因は、KPI が「経営のドライバー」ではなく「単なる科目の確認」になっていて、KPI が動いたときに「どう判断するか」の取扱説明やガイドがないことです。ですから、ファイナンス(管理・財務会計)・税務・マーケティング(事業)を一体にして、売上から利益、キャッシュまでの因果関係をストーリーにし、責任者が判断できるルールを提供する必要があります。
澤
数字について、最終的にどんな状態を目指していますか。
小池
最終的には「数字を会社の武器にする」ことです。目的と言語がそろっていないケースが多いので、統合して共通言語をつくる。「使えない数字はいらない。使える数字に変える」ということです。もう一つはキャッシュです。PL・BS・CSの中でも、キャッシュフローの重要性はさらに高まるので、税務も含めて一体で支える価値は上がると思います。

具体的に取り組むこと
- 事業別・顧客別・サービス別の利益構造化
- 将来シナリオの財務シミュレーション
- マーケティング施策のROI最適化
- 経営ダッシュボードによる、上記の可視化と自動化
澤
数字の裏付けを持つと、広告や PR の進め方は、どう変わりますか。
小池
広告・PR・コンテンツといったマーケティングの領域をご支援するときに、ファイナンスの視点を取り入れます。そうすることで、投資の効果を最大にすることに貢献します。
澤
広告や販促の費用は、どう考えればよいのでしょうか。
小池
マーケティングは、勘定科目で言えば販促費や広告費ですが、その実態は、顧客獲得やブランド向上の“ドライバー”です。企業の調子が悪くなると販促費は真っ先に削減されがちですが、本当に削るべきかは、管理会計や財務、税務との兼ね合いで検証する必要があります。
04提供しているサービス
管理会計の高度化を起点に、マーケティングと業務のAI化へ広げる4つの「できること」がある。
澤
どんなことを支援できるのですか。
小池
管理会計の高度化を起点に、マーケティングと業務のAI化へ広げる4つの「できること」があります。
4つの「できること」
- 管理会計の高度化(起点):利益構造の見える化、予実管理とKPI設計
- マーケティング投資の最大化:投資効率を利益で見える化し、配分と打ち手を最適化
- AIが回す管理会計:予実分析・着地見込み・レポートをAIが担う
- 販促組織の内製とEC実務のAI化:販促を自社で回せる組織をつくり、EC実務はAIで回す


澤
4つの領域の中の、具体的なサービスを伺います。ファイナンスの領域では、何がありますか。
小池
企業の意思決定を支える数値の基盤を作り、管理会計・財務会計・税務を統合した経営管理を実現します。その中に、2つのサービスがあります。1つは「AI FP&A」です。管理会計の「型」の設計を当社が、AI の実装を株式会社homula が担い、FP&A のオペレーションそのものを組み替えます。
澤
FP&A の作業の一部に AI を使うやり方と、AI FP&A は何が違うのですか。
小池
人の作業を AI に置き換えて効率化するだけではありません。業務の時間の粒度や、動き出すきっかけ、情報の届き方、組織の役割まで組み替えて、FP&A を経営の意思決定のエンジンへ進化させる考え方です。経営者の関心は、レポートが少し速く出るようになることではなく、意思決定そのものが速く、良くなるのかという点にあります。
澤
もう1つのサービスは、どんな会社に向けたものですか。
小池
「経営ダッシュボード+社外CFO」です。売上・客数から営業利益まで、経営判断に必要な数字をダッシュボードにまとめます。FP&A の組織を置くまでもない規模の会社に向けて、基本のパッケージを、その会社のデータに合わせて初期設定してお渡しします。毎月の数値の更新は、その会社の中で完結します。
澤
ダッシュボードは、どのように作るのですか。
小池
販売台帳や POS・レジ、会計データといった日々の記録を集めて、まず会社の規模と事業の複雑さに合わせて、見るべき指標を絞り込みます。そのうえで、売上・客数・客単価・営業利益・損益分岐点などの各指標の定義を明確にします。数字には要因と元データへの経路を持たせて、根拠までたどれるようにしています。毎月の更新は、決まった Excel のテンプレートに月次のデータを貼り付けて、画面に読み込ませるだけです。
澤
社外CFOとしては、どんな支援をするのですか。
小池
数字を読み解き、次の打ち手を一緒に決めます。毎月の業績レビューと要因分析で、売上が動いた理由をほどいていきます。予算・資金計画の策定と予実管理、経営会議や取締役会への同席と報告資料の作成、金融機関や投資家向けの資料づくりも支援します。
ファイナンス領域のサービスと提携先
- AI FP&A(homula 共同プロダクト):管理会計の「型」の設計を FP&A JAPAN が、AI の実装を株式会社homula が担う
- 経営ダッシュボード+社外CFO(FP&A JAPAN単独):経営判断に必要な数字をダッシュボードにまとめる。基本パッケージを会社のデータに合わせて初期設定して渡す
- 提携先:AI実装 homula/経理基盤 ReaLight/税務 芝みなと税理士法人
05実行までやり切る
戦略だけで終わらせず、多様な分野の専門家が1つのチームとして、成果が出るまで支援する。
澤
コンサルティングというと、提案をまとめて終わる、という印象を持つ方もいます。FP&A JAPAN の支援は、何が違いますか。
小池
私たちは、実行の段階まで責任を持ちます。多様な分野の専門家が One Team として最後までやり切る「Total Execution」を提供します。これまでの助言だけのコンサルティングではなく、成果が出るまで一気通貫で支援できる組織です。
澤
短期で実行価値を出す支援には、どんなものがありますか。
小池
私たちの強みは「Quick Win」、つまり短期で実行価値を出せることです。ファイナンスなら、借入条件の見直し、利息の削減、キャッシュフローや CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の改善、余資運用や投資判断などを、アセスメントして早期に提案できます。マーケティングでは、チャネル別の ROI 分析や予算配分、広告・販促費が財務にどう効くかを可視化できます。
澤
その先には、何を目指しているのですか。
小池
Quick Win の先の最終目標は、経営企画・事業企画・FP&A・PM・ガバナンスを一体にした組織の設計です。CEO・CFO・COO が同じ組織の中で、「共通言語」で即断できる状態を支えたいと考えています。CFO の実態把握を正確な数字で支え、事業の業務把握にもとづいて COO の執行を後押しし、CEO の有効で即効性のある意思決定を支援する。これが当社の目的であり、目標でもあります。


澤
支援する会社の規模は、決めていますか。
小池
スタートアップから中堅企業、大企業まで、規模や成長の段階に合わせて対応しています。必要に応じて、大手のコンサルティングファームや広告会社とも連携します。「ちょうど良い伴走パートナー」として、お客さまの成長に寄り添うことを大切にしています。
澤
大手のコンサルティングファームや広告会社とも連携する、とのことでした。ほかの会社とは、どう組んでいるのですか。
小池
3つの連携があります。1つ目は、コンサルティングファームやBX/DXブティックとの協業で、プロジェクト型で業務を進めます。2つ目は、AI実装パートナーのhomulaとの連携で、FP&Aパッケージを共同で提供しています。3つ目は、経理基盤を担うReaLightや、税務を担う芝みなと税理士法人との連携です。経理・税務の基盤は提携先が整え、その数字を経営の意思決定に活かすのが当社の役割です。
06支援の例
企業グループの経営管理から、銭湯の値決め、アパレルの事業再生まで。
澤
これまでに、どんな会社を支援してきたのですか。
小池
企業グループ、銭湯、アパレルブランドの支援の例があります。守秘のため社名は伏せて紹介します。
企業グループ(複数社)|グループ経営管理の基盤づくり
複数社からなる企業グループで、グループ全体の経営管理の基盤づくりを支援。各社の数字と資金の見通しがばらばらで判断に時間がかかっていた状態に対し、連結数値と資金見込みの集計をAIで自動化する仕組みと、ROIC起点のKPI・投資ガバナンスを設計し、週次で判断できる経営管理の型を示した。
銭湯(中小)|日々の採算管理
損益分岐点と利益を動かす要因を特定し、サウナ料金の水準を試算。日報を入れるだけで更新できるダッシュボードを導入し、根拠を持った値決めと常時黒字の経営を実現。
アパレルブランド(中小)|事業再生
ECの立ち上げと集客投資を設計し、実務はAIで回す仕組みに。資金繰りと計画管理も一体で支援し、ECが店舗を補う第2の柱に。
07編集部から
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- 数字に強いマーケティング組織をつくりたい
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